なぜレコアさんは、シロッコのもとへ行ったのか? 〜『Ζガンダム』から考える、依存と「分かってほしい」という心〜


最近、『Ζガンダム』を少しずつ観てる。

で、

「登場人物、みんなめんどくさい」

ってのは前に書いた通り(笑)。

そんな中で特に、

「この人、よう分からんなぁ・・・」

ってなるのが、

レコア・ロンド。

レコアさんね。

エゥーゴにいて、

クワトロ大尉の近くにいて、

重要な任務も任されて、

仲間からも信頼されてる。

なのに最終的に、ティターンズ側のシロッコのところへ行ってしまう。

思想に共感した?

ティターンズの行動理念に惹かれた?

いや、どうやらそうじゃない(笑)。

むしろ、

「女として見てほしい」

「分かってほしい」

「安心したい」

そんな感情が、何重にもねじれた末の裏切り。

今日はそんなレコアさんから、人間の「依存」について考えてみた。

劇中、シロッコがレコアについて、

「依存心が強い」

的な趣旨のことを言うんよね。

これ、かなり核心やと思う。

ここで、

「“女は”依存心が強い」

なんて簡単に片づけるのは雑。

男だって依存する。

会社に。

肩書きに。

上司に。

あるいは、

思想に。

酒に。

恋人に・・・。

まっつんスタイルも、たぶん色んなものに依存して生きてる(笑)。

ただレコアの場合、その依存心が、

「“女として”誰かに受け止められたい」

っていう欲求と、かなり強く結びついてるように見えるよね。

で、ここが、レコアさんのおもしろいところ。

だってレコアって、見た目にはかなり成熟した大人。

危険な潜入任務もこなす。

モビルスーツにも乗る。

年下のカミーユやファから見れば、完全に「大人の女性」。

しっかりと自立してる

弱音も吐かない。

でも、内側では常に、

「私を見てほしい」

「私を必要としてほしい」

「誰かに安心させてほしい」

そんな欲求がずっと渦巻いてる。

外側は大人。

内側は・・・、意外なくらい「誰かに支えてほしい子ども?」が残ってる(笑)。

で、クワトロ大尉。

レコアは、明らかにクワトロ大尉に気がある。

でもこのクワトロ大尉がまた、絶望的にその気持ちを拾わない(笑)。

レコアに対して、一切干渉も束縛もしない。

自由にする。

一人の兵士として能力も認めてる。

大人として“素振り”は見せる。

一見、めちゃくちゃ理解のあるいい男。

でも、レコアが欲しかったものは、そんなことだけじゃなかったんよね。

「自由にしていい」

じゃなく、

「ここにいていい」

あ、いや、

「ここにいて欲しい」

が欲しかったんやと思う。

この違い、レコアの心理的には、あまりにデカい。

人って、

「自由になりたい」

ってよく言う。

束縛されたくない。

好きなように生きたい。

誰かに指図されたくない。

でも、ホンマに完全な自由を渡されたら、けっこうしんどい(笑)。

全部自分で決めなあかん。

全部自分で責任を取らなあかん。

誰も方向を示してくれない。

誰も、

「それでいい」

って保証してくれない。

実はひたすら不安。

だから時々、

「こっちやで」

「大丈夫」

「俺についてこい」

そう言ってくれる人が側にいることの方が、めっちゃラクやったりする。

ある意味支配される。

でも、安心する。

これって矛盾してるようで、たぶん人間の中では普通に両立してる心理なんよね。

自由でいたい。

でも、どこか委ねたい・・・。

ここでシロッコ登場(笑)。

まぁ、この男は怖い。

レコアが自分で言葉にできてない感情を、いとも簡単に見抜いてしまう。

「強い女として生きることに疲れてるんちゃう?」

「ホンマは安心したいんちゃう?」

「俺ならそれを与えてやれるで」

みたいなことを、言葉巧みに差し込んでくる。

もちろん関西訛りじゃないけど(笑)。

そりゃ、

「え? この人、私を分かってくれる?」

ってなる。

クワトロが拾わなかったものを、全部拾う。

女心に関しては、赤い彗星、シロッコに完敗(笑)。

でもここで、ちょっと怖いことにも気づくよね。

「分かってくれる人」

って、必ずしも、

「自分を大切にしてくれる人」

とは限らんってこと。

シロッコという男の行動規範を見れば一目瞭然(笑)。

相手を理解できれば、助けることができる。

でも同時に、操ることもできる。

これは、

恋愛でも、

営業でも、

宗教でも、

政治でも、

占いでもそう。

人って、自分でも説明できんかった気持ちを、誰かに、

「あなた、本当はこうじゃね?」

って言い当てられると、一気に心を許すことがある。

「え! この人、分かんの!?」

って。

でもそれって、けっこう危ない。

理解は、優しさにもなる。

そして時に、支配にもなりうる。

そう考えると、シロッコって、レコアを理解したからこそ、支配できた男ってことよね。

クワトロは、支配しなかった。

でも、理解もしなかった。

いや、できなかった?(笑)

レコアは、自由だった。

でも、その自由に疲れた。

そして、自分を“理解してくれる支配者”のところへ行った。

なんとまぁ皮肉・・・。

じゃあ、レコアの悲劇は「依存したこと」なんやろか?

まっつんスタイルは、そこじゃない気がする。

問題は、

「依存したい自分を、自分で認められなかったこと」

これなんちゃうかなと。

強い女でいたい。

自立した大人でいたい。

弱く見られたくない。

でも本当は、

寂しい。

甘えたい。

抱えてほしい。

女として見てほしい。

でもだったら、

「寂しい」

って言えばいい。

「私を見て」

って言えばいい。

「もうちょい構って(笑)」

って。

でも、それが言えない・・・。

こういうことって、大人になるほど起きがちよね。

子どもなら、

「寂しい!」

「怖い!」

「抱っこ!」

って言える。

めちゃくちゃ素直(笑)。

でも大人は、

「別に・・・」

(笑)。

本当は寂しい。

でも、

「平気・・・」

本当は傷ついた。

でも、

「なんでもない・・・」

本当は助けてほしい。

でも、

「大丈夫・・・」

大人は時に、子どもよりめんどくさい(笑)。

だからレコアって、大人やから拗れたんじゃなくて、

“大人であろうとしすぎて拗れた”

とも思うんよね。

弱さを見せない。

依存しない。

自分で何とかする。

そうやって頑張りすぎた結果、

依存心が消えたんじゃなく、“地下に潜った”。

で、地下に潜った欲求って、ある時、変な形で出てくる。

レコアの場合、きっかけは、シロッコのビンタ?(笑)

そこからシロッコへの傾倒に向かったんかな、と。

あと、彼女にはもう一個、無視できない傷がある。

地球で受けたという、

「辱め」。

作中では、その具体的な内容までは語られん。

でもレコア自身、この出来事を何度か口にする。

つまり彼女の中では、それだけ大きな傷として残ってるんやろう。

このことを踏まえると、レコアの男に対する感情って、さらにややこしく見えてくる(笑)。

男に傷つけられた。

男を信用できない。

男は女を道具として扱う。

女を辱める。

でもその一方で、

「男に求められたい」

「女として見てほしい」

「安心させてほしい」

「自分を受け止めてほしい」

・・・これ、どうやら、

「何回転ねじれとんねん?」

って話みたい(笑)。

でも、実際の人間って、案外こういうもん。

傷つけられたから、その対象を完全に拒絶できるとは限らん。

むしろ、

「今度こそ大切にしてほしい」

「今度こそちゃんと受け止めてほしい」

そんな欲求が、余計に強くなることだってある。

そう考えると、クワトロの態度は、レコアにとって相当しんどかったんかもしれんよね。

一人の兵士として認めてくれる。

束縛しない。

自由にしてくれる。

でも、

「女としての私」

には、踏み込んでこない。

レコアからすれば、

「この人もまた、私を女として見てくれない・・・」

そんな寂しさがあったんかな、と。

そこへ現れたのが、シロッコ(笑)。

この男は違った。

レコアが隠していた寂しさも、

依存心も、

女として求められたい欲求も、

全部見抜いてしまう。

だからレコアは、

「この人なら分かってくれる」

と思った。

思ってしまった。

男に傷つけられた経験を、別の男によって埋めようとした?

そんなふうにも見える。

でも、ここが『Ζガンダム』の意地悪なところ(笑)。

そのシロッコこそ、人の心を読み、人を自分の側へ引き寄せ、使うことに長けた男でもある。

つまりレコアは、

「男に道具として扱われたくない」

と思いながら、最も巧妙に人の心を操る男のもとへ行ってしまった。

これまたなんという皮肉・・・。

そして最後。

エマとの戦いの中で、レコアは言う。

「男たちは戦うことばかり」

「女を道具として使う」

「あるいは、女を辱める」

それに対してエマは、

「あなたは女でありすぎた!」

と、言葉を返す。

これがまた、めちゃくちゃ重い。

エマだって女。

恋愛感情もある。

誰かに愛されることと無縁な人でもない。

でも、

女である自分、

兵士である自分、

仲間である自分、

自分で判断する一人の人間としての自分。

その全部を持ったまま生きてる。

一方のレコアは、

「女として誰かに求められたい自分」

があまりに大きくなってしまった。

だから、

「女でありすぎた」

女であることが悪いんじゃない。

“女として満たされること”に、自分という人間を預けすぎた。

そんな意味にも読めるよね。

そして、レコアが最後に返す、

「エマ中尉、分かってよ・・・」

これが、なんとも切ない(笑)。

考えてみたらレコアさん、最初から最後まで、

「分かってほしい」

なんよね。

クワトロに分かってほしかった。

でも分かってもらえなかった。

シロッコには、

「この人なら分かってくれる」

と思った。

そして最後には、エマに、

「分かってよ」。

ずっと強い大人の女として振る舞ってきた人が、最後の最後に出した言葉が、

「分かってよ」。

なんとも子どもっぽくて、

なんとも素直で、

なんとも悲しい・・・。

そう、ここで大事なのは、

「分かること」

と、

「肯定すること」

は違うってこと。

エマは、レコアの苦しみを理解しようとすることはできる。

でも、

だから仲間を裏切ったことも、

シロッコについたことも、

全部、

「そうよね、仕方なかったよね」

と肯定する必要はない。

ここがシロッコと違うとこ。

シロッコは、レコアを理解し、その心へ入り込んだ。

クワトロは、彼女を尊重したけど、心を拾えなかった。

エマは、彼女の苦しみを見ながらも、

「でも私は、あなたとは違う」

と言った。

もしかすると、人と「分かり合う」って、実際はこのくらいの距離感なんかもしれんよね。

全部同意することじゃない。

相手と同じになることでもない。

「あなたがそう感じたことは分かる。でも、私はそうは生きない」

そこまで含めて、“理解”。

たぶんレコアさんは、単純に男を嫌っていたわけじゃない。

むしろ、

“男を必要としてしまう自分を、最後まで持て余してた”。

レコアさんの裏切りが、どうにも分かりにくいのは当然なんかもしれん。

本人自身が、自分の中にある矛盾を、最後まで持て余してたみたいやから(笑)。

ここで改めて思うのが、

「ニュータイプって、なんなん?」

ってこと(笑)。

人の気配を感じる。

相手の存在を察知する。

分かり合える可能性を持った人類。

でも結局、レコアは最後まで、

「分かってよ・・・」

って言わんとあかんかった。

クワトロだって、目の前にいたレコアの寂しさを拾えんかった。

これってつまり、

「感じ取れること」と「理解できること」は別。

さらに、

「理解できること」と「素直に伝えられること」も別。

ニュータイプでも、言わんと分からん(笑)。

当たり前なんやけど、Ζガンダムを見てるとホンマにそう思う。

もどかしい(笑)。

最後に、あの有名なクワトロのセリフに触れる。

「サボテンが、花をつけている・・・」

初見やと、

「は? お前なに言うとんねん?」

なんやけど(笑)。

でも、レコアさんのことを考えながら見ると、実はものすごく切ない一言。

サボテンって、トゲがあるやん?

で、乾いた場所でも耐える。

一人でも生きられそう。

強い。

でも、花も咲く。

そう、これが、“レコアそのもの”。

あの瞬間、クワトロはサボテンにレコアを見た。

強い女として生きてる。

尖ってる。

一人でも大丈夫そう。

でも本当は?

柔らかい部分がある。

厳しい環境に耐えてる。

大事にしてほしい、愛してほしい・・・。

クワトロは、その花が咲いてる時には気づかなかった。

でも、レコアがいなくなってから、

「あれ?」

って気づいた。

遅い(笑)。

でもこれ、俺らも人のこと笑えんとも思う。

人間関係って、「いなくなってから気づく」っていうベタなこと、実際にあるから。

「あの言葉、SOSやったんかな?」

「あの時、もっと話を聞いとけば・・・」

「あの態度は、寂しさの表れやったとか?」

その時は、

ただの愚痴、

ただの不機嫌、

ただのわがまま、

そう思って流す。

でも後になって、

「あれ、花やったん?」

って分かる・・・。

だから、

「サボテンが花をつけている」

って、

実はめちゃくちゃ人間臭い言葉。

大事なものって、目の前にある時ほど見えん。

なくなって初めて、

「あぁ、あったんや・・・」

って分かる。

ニュータイプだろうが、赤い彗星だろうが、このへんは俺らと同じ(笑)。

さてさて、結局、レコアは素直じゃなかった。

クワトロは鈍かった。

大事なことに、あとから気づいた。

シロッコは分かりすぎた。

そして、その理解を支配に使った。

エマは分かろうとした。

でも、レコアの生き方までは肯定しなかった。

全員がちょっとずつ違う。

全員ちょっとずつねじれとる(笑)。

これぞ『Ζガンダム』。

たださっきも言った。

考えてみれば、現実の俺らも似たようなもん。

自由でいたい。

でも誰かに委ねたい。

大人でいたい。

でも甘えたい。

強く見せたい。

でも安心したい。

分かってほしい。

でも自分からは言いたくない・・・。

人間って、ひたすら矛盾だらけ。

ひたすらめんどくさい(笑)

レコアさんの裏切り。

政治思想。

恋愛感情。

女心。

承認欲求。

依存。

安心。

いろんなものが混ざってるんやろう。

だからこそ、あんなに分かりにくい(笑)。

アーガマに敵対する時のあの葛藤とか、見てるこっちは意味わからん。

「じゃあなんで裏切ったん?」

って(笑)。

でも、その分かりにくさこそ、人間っぽい。

まっつんスタイルの大好物(笑)。

人は、一つの価値基準だけで生きてない。

自由を求めながら、

支配を求める。

自立したいのに、

甘えたい。

大人なのに、

子ども。

そんな矛盾を抱えながら生きてる。

だから、レコアさんはめんどくさい。

でも、そのめんどくささを笑ってる俺らも、同じようにめんどくさい(笑)。

自分の中のその矛盾に気づいて、

「あぁ、人間ってこんなもんか」

って少し笑える。

もしかしたら、そこからようやく、大人って始まるんかもしれんね☆


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