数十秒だけ道路を支配した快感 〜人を動かすことの甘美さと、その後の品格〜


運送会社に入社して1ヶ月。

昨日、先輩のトラックを誘導する場面があった。

バックで車道に出るため、まっつんスタイルが車から降りて合図を送る。

頭を下げながら、前から来る車を止めて、後ろの車も止めて、ジェスチャーでゆっくりと誘導。

先輩のトラックがゆっくりバックしていく。

無事に脱出完了。

そう、で、そのとき思ったのよ。

「あら、なんか気持ちええ」

って(笑)。

☆

たった数十秒の出来事。

道路工事のおっちゃんや、警備員さんなら毎日やってること。

でもその瞬間、不思議と道路全体が自分を中心に動いてる感じがした。

車が止まる。

待つ。

動く。

みんな自分の合図を見てる。

そう、

「これが“支配欲の充足”か?」

「なんと甘美な!(笑)」

って思ったのよ。

「支配欲」

案外こういう感覚なんかもしれんなと。

☆

で、ちょっと怖かったのは、その感覚が思った以上に気持ちよかったこと(笑)。

ほんの数十秒。

わずかな瞬間。

でも、人を思い通りにコントロールするって、やっぱ快感なんよね。

たかだか車の誘導ですら(笑)。

たぶんこれ、人間のかなり根っこの欲求なんやと思う。

☆

そう考えると、なんとなくいろいろ見えてくる。

政治家。

官僚。

社長。

先生。

親。

監督。

リーダー。

力の大きさや種類には差はあれど、人を動かす立場の人って、世の中にたくさんいる。

もちろん、みんながみんなそうじゃない。

でも、人を導いたり、判断したり、組織を動かしたりすることには、少なからず快感があるんやろうなって。

もし全然気持ちよくなかったら、あそこまで責任の重い立場なんて、誰もやりたがらん気もする(笑)。

☆

「支配欲」なんて聞くと、たしかに怖い。

物騒(笑)。

でも、その欲そのものは、別に悪じゃない。

むしろ自然。

人間やから。

で、もし問題があるとすれば、その快感に飲まれることなんやろね。

「めっちゃ気持ちええやん!」

「もっと!」

「もっと思い通りに!」

「俺の言うこと聞かしたい!」

みたいな?(笑)

そうなったら、支配欲は少しずつ暴走を始める。

独裁。

強権。

パワハラ。

モラハラ。

束縛。

案外、入口は同じなんかもしれん。

☆

だから本当に試されるのは、支配欲を満たせる立場に立った、その後なんやろね。

昨日のまっつんスタイルもそう。

「あ、気持ちええ(笑)」

まず、その快感に気付けた。

で、そのあと、もう一つ思った。

「一瞬でも場を支配したことに責任を持たねば」

「こちらの思い通りに動いてくれたことに感謝せねば」

とね。

止まってくれたドライバーさんの中には、急いでた人もおったかもしれん。

仕事へ向かう途中やった人。

家族を迎えに行く人。

早く帰りたかった人。

あるいはシンプルに驚いた人。

こっちは仕事で止めさせてもらった。

でも相手からしたら、予定を少し止められた側。

そう思うと、自然と頭が下がる。

「すんません、ありがとうございます」

って。

そういう、支配された側の心情に対する想像力を持てるかどうか。

支配することより、支配したあとに何を考えるか。

そっちの方が、その人の品格なんかもしれん。

☆

で、禅って、こういうことなんかなとも思った。

今回はわりと自然にZENに行ける(笑)。

人間には欲がある。

支配欲もある。

承認欲も名誉欲もある。

それを無理やり消そうとはしない。

ただ、

「あ、今こう思ってるな」

って観察する。

一歩引いて眺める。

すると、不思議と欲に振り回されにくくなる。

いつも書いてるやつね(笑)。

でもホント、昨日の出来事は、その練習みたいな時間やった気がする。

☆

数十秒だけ、道路を支配した。

いや、ホント気持ちよかった(笑)。

でも笑ったのが、

「あぁ、俺にもちゃんと支配欲があったんや(笑)」

って気づけたこと。

人を動かす力そのものより、その快感をちゃんと観察できる自分でありたい。

まぁそれはそれとして、また次の誘導の機会を、密かに心待ちにしてる自分もいる(笑)☆


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