なぜ人間は、無限に太り続けないのか? 〜ダイエットの停滞期から考える、身体の「普通」〜


ダイエットをしてると、あるとき、

「ぜんぜん減らん・・・」

って時期が来る(笑)。

いわゆる停滞期。

最初はまぁ順調。

セオリー通り、

食事を整える。

運動する。

ちゃんと寝る。

すると、体重が落ちる。

「お、ええ感じ!」

そう思ってたら、あるところから、

71.4kg。

71.2kg。

71.3kg。

71.4kg。

71.3kg・・・。

「ってお前、そこらへん好きやなぁ!」

ってなる(笑)。

☆

で、正直、これについては、まぁ分かるのよ。

理屈は。

体重が減れば、その身体を維持するために必要なエネルギーも減る。

さらに減量中は、食欲や消費エネルギーなんかも変化する。

身体としては、

「おい、なんか最近エネルギー入ってこんぞ?」

「大丈夫なん?」

って感じなんやろう。

人間の身体には、今の状態をなるべく維持しようとする仕組みがあるからね。

だから、ダイエットってどこかで頭打ちになることがある。

なるほど、

人体って、よくできとる。

・・・。

と、ここでふと思ったわけよ。

「じゃあ、なんで太る方も頭打ちになるんやろ?」

って(笑)。

今日はこのネタを掘る。

☆

例えば、毎日、けっこうな量を食べる人がいるとする。

ラーメン。

唐揚げ。

大盛りご飯。

お菓子。

ジュース。

お酒。

ついでに、なんか夜食。

仕事もデスクワーク中心。

運動はほとんどしない。

これをずーっと続けてたら?

70kg。

80kg。

90kg。

100kg。

110kg。

120kg。

130kg・・・。

って、死ぬまで延々太り続けそうなもんやん?(笑)

でも実際には、そうならない人がほとんど。

とはいえ世の中には、200kg、300kgみたいな、とんでもなくデ・・・、大きい人もいる(笑)。

アメリカ人なんか見てると、

「人間って、ここまでデカくなれるん!?」

「何を食うたんや!?」

みたいな人がいる(笑)。

でも一般的には、

「太ってる人」

って、毎年10kgずつ永遠に増え続けてるわけじゃない。

80kgなら80kg。

100kgなら100kg。

どこかで、ある程度落ち着いてる人が多い。

さて、これって、なんでなん?

☆

考えてみたら、答えの一つはけっこう単純。

身体が大きくなれば、その身体を維持するためのエネルギーも増えるから。

例えば、

70kgの人が毎日3,000kcal食べて、それがその人にとってかなりの食べ過ぎやったとする。

仮にその人の消費が2,500kcalくらいなら、使う以上に入ってきてる状態。

となると、余る。

だから、太る。

でも、太って身体が大きくなる。

80kg。

90kg。

100kg・・・。

すると、その大きな身体そのものを維持するために必要なエネルギーも増えていく。

同じ距離を歩くにしても、70kgの身体を運ぶのと100kgの身体を運ぶのでは違う。

何もせんくても、維持せなあかん組織の量も違う。

これってつまり?

太った身体は、太った身体なりに維持費が高いってこと(笑)。

☆

この理屈、お金で考えると分かりやすいかも。

月収30万円。

生活費20万円。

毎月10万円余る。

余った分が、どんどん貯金される。

ところが、生活規模が膨らんで、

家賃。

食費。

車。

光熱費。

その他もろもろ。

毎月30万円かかるようになった。

すると、同じ月収30万円でも、もう余らない。

どうこの例え?(笑)

でたぶん、身体も似たようなもんなんやろう。

最初は、

「3,000kcal? 多すぎ!」

やった。

でも身体が大きくなるにつれて、

「3,000kcal? まぁ、この身体ならそれくらい使うよね〜」

に変化していく。

で、どこかで、

食べるエネルギーと、

使うエネルギーが、

だいたい釣り合う。

そこで、体重の増加が鈍くなる・・・と。

なるほど。

太るのが止まるのは、“太った身体を維持するだけでもけっこう大変になるから”でもあるらしい(笑)。

☆

しかも身体は、完全に無抵抗で太っていくわけでもないみたい。

例えば、脂肪細胞からは、レプチンっていうホルモンが分泌される。

ざっくり言えば、

「エネルギーの蓄え、これくらいありますよ〜」

って、脳へ知らせるシグナルの一つやね。

脂肪が増えれば、基本的にはレプチンも増える。

身体としても、

「もうかなり備蓄ありますんで」

っていう情報は出してるわけ。

食べる量が増えれば、食べたものを処理するために使うエネルギーも増える。

人によっては、無意識の身体活動なんかで消費が増えることもある。

つまり人体には、

痩せる方向だけじゃなく、

太りすぎる方向にも、一応ブレーキはある。

「好きなだけ太ればええやん」

っていう完全放任じゃない(笑)。

☆

じゃあ、ここでまた疑問。

「それなら、なんで200kgとか300kgの人がおるん?」

「ブレーキがあるんやろ? 止めたらえやん?」

って(笑)。

これにはどうやら、いろんな要因が絡む。

遺伝的な違いもある。

病気や薬などが体重に影響する場合もある。

生活環境も違う。

食欲の調節だって、全員同じじゃない。

単純に、

「あまりに食べすぎたから」

だけで全部説明するのは、さすがに雑。

ただ、大きな背景の一つとして考えずにはいられないのが、

「現代の食環境、強すぎ問題」やね(苦笑)。

☆

高カロリー。

高脂質。

高糖質。

甘い。

柔らかい。

食べやすい。

うまい。

飲み物だけでも大量のカロリーが取れる。

コンビニへ行けば、24時間食べ物がある。

スマホで注文すれば、マクドやピザが家まで届く。

ついでに現代は、一日ほとんど身体を動かさなくても生活できる。

できてしまう。

人類史の大半から考えたら、

こんな環境、異常やん?

なんていうか、“逆地獄”?(笑)

昔なら、

「5,000kcal食べたい!」

とか思ったところで、

「いやいや、食いもんないがな」

で終わる(笑)。

でも今なら?

「かしこまりました」

からの、

「ご一緒にポテトはいかがですか?」

やからね。

文明、強すぎ。

抗うの、ムズすぎ(笑)。

☆

しかも肥満が進むと、

「脂肪が増えたからレプチンが増えて、食欲がきれいに下がって終了」

みたいな単純な話にも、どうやらならん。

ちょっと専門的な言い方をすると、

「肥満では、レプチンが多く存在してるのに、そのシグナルが期待通りに作用しにくくなる「レプチン抵抗性」がみられることもある」

例えるなら、

身体:

「備蓄? めっちゃあるよ」

脳:

「・・・(レプチン抵抗性発動中)」

身体:

「あの、聞いてる?」

脳:

「・・・(レプチン抵抗性発動中)」

現代社会:

「ピザ届きましたー!」

って感じ?(苦笑)

そりゃブレーキがあっても、アクセルが強けりゃ進んでまう。

☆

でも、ここでさらにおもしろい(?)疑問が出てくる。

じゃあそもそも、

「なんで人間の身体は、太ることをもっと全力で防がんのやろ?」

「下手したら命の危機やん? 抵抗せーよ?」

って思うよね。

100kgになったら、

「もう食欲ゼロ!」

200kgになったら、

「食べ物を見るだけで満腹!」

くらいの仕組みがあればええやん?(笑)

なのに、そうはなってない。

これたぶん、人類の進化の歴史を考えると分かりやすいんかな。

☆

人類が長いこと本気で警戒せなあかんかったのは、

「食いすぎ」

より、

「食えない」

の方やったってこと。

狩りに失敗する。

不作になる。

冬が来る。

災害が起きる。

病気になる。

食料がなくなる・・・。

現代みたいに、

「今日は食べすぎたから、明日はちょっとカロリー控えよ」

なんて悠長なこと言ってられん(笑)。

食える時に食う。

エネルギーを蓄える。

食えない時期を乗り切る。

そういう能力は、生存にとってめっちゃ重要やったはずなんよね。

だから人間の身体って、体重が減ってエネルギー不足が続くと、

「ちょっと待て!」

って強く反応するようにできてる。

食欲を高めたり、

消費エネルギーを節約する方向へ調整したり、

無意識の活動量が変わったり、

身体はけっこう必死。

要するに、

人体は、“痩せすぎ警報”には、けっこううるさい(笑)。

☆

一方で、毎日いつでも、

レッドブル、

ファミチキ、

豚キム大盛り。

氷結。

ペプシコーラ。

好きなだけどうぞ。

しかも身体を動かす必要もありません。

そんな環境は、人類の長い歴史から見れば、めっちゃ新しい。

あまりに斬新(笑)。

だから俺らの身体って、

飢餓対策のセキュリティはめっちゃ強固。

でも、

飽食対策のセキュリティは、そこそこザル(笑)。

もちろん、太る方向への調整機能も、あるはある。

でも、キレイなシンメトリーになってない。

・・・うん、自分で書いてて、なんか納得。

人体を設計した神さま的な人がおったとしたら、

「いや、こんな毎日バカバカ食えるような世界になるとは思わんやん?」

って言いそう(笑)。

☆

となると、次にまた気になる問いが浮かぶ。

どこまでいくん?(笑)

「じゃあ、人間にはそれぞれ“適正体重”みたいなものが決まってるん?」

これ、よく聞く、

「セットポイント」

ってやつね。

身体には一応、

「だいたいこのへんの体重でいたい」

という設定があって、そこから外れると元に戻そうとするらしい。

そんなイメージ。

これなら、

ダイエットすると戻りやすい。

太ってもどこかで落ち着く。

っていう現象を説明しやすい。

でも実際の身体は、そんな単純なサーモスタットみたいなもんでもないらしいけど・・・。

☆

生まれつき、

「あなたは71.4kgです!」

って設定されてるわけじゃない(笑)。

遺伝。

病気や怪我。

筋肉量。

運動量。

食習慣

生活環境。

それまでの体重。

いろんなものが絡み合う。

だから、

「決められた一点へ絶対戻る」

っていうより、

身体が落ち着きやすい範囲がある、

くらいに考えた方が、しっくりくるかな。

しかも、その範囲自体がまったく動かないわけでもない。

長い時間をかけた生活習慣によって、身体の状態も変わっていく。

この感覚は実際、まっつんスタイルも体験済み。

つまり、

「俺は太りやすいから一生この体重!」

でもないし、

「カロリーさえ計算すれば体重なんて完全に自由自在!」

でもない。

このへんが人体のおもろいところ。

いちいち単純じゃない(笑)。

☆

で、ここまで考えると、ダイエットが難しい理由も改めて見えてくるよね。

例えば、長いこと80kgで暮らしてきた人が、

一気に70kgまで落とす。

本人、

「よっしゃー!」

身体、

「・・・」

本人、

「10kg減ったぞ!」

身体、

「いや、誰が70kgでええって言うたん?」

ってリバウンドする気満々(笑)。

☆

体重が落ちた。

必要なエネルギーも減った。

さらに減量によって、食欲やエネルギー消費にも変化が起こる。

本人は、

「ダイエット成功!」

と思ってる。

でも身体からしたら、

「最近ずっとエネルギー不足やん」

かもしれない。

だから、

食べたい。

動きたくない。

元に戻りたい。

そんな方向へ引っ張られる。

これが、

「痩せるより、痩せたあと維持する方が難しい」

って言われる理由の一つなんやろね。

☆

ここで思うのが、もしかして体づくりって、

「身体をコントロールして、ねじ伏せるゲームじゃないんちゃう?」

ってこと。

「一ヶ月で10kg落とす!」

「食わない!」

「走る!」

「耐える!」

「根性!」

これ、健康診断前のおじさん(笑)。

でも、

身体:

「何が起きとんねん! ついていかれへん!」

(笑)。

数字だけなら、短期間でもある程度動かせる。

でも、それを一生続けられないなら、いつかは元の生活に戻る。

元の生活に戻れば、体重だって戻りやすいのは当然。

だったら必要なのは、

身体との戦争じゃなくて、

身体との長期交渉

なのちゃうかな?

☆

食べる量を変える。

食べるものを変える。

筋肉をつける。

ちゃんと歩く。

しっかり寝る。

それを、

「ダイエット期間中だけやる特別なこと」

じゃなくて、

“それが普通”の生活にしていく。

身体に、

「これが新しい日常ですよ」

と覚えてもらう。

67kgが普通だった身体で、

無理やり65kgを一瞬作るんじゃない。

65kg前後で普通に食べ、

普通に動き、

普通に暮らせる生活を作る。

その状態を続ける。

そうやって、

「頑張って維持してる身体」を、「ただの俺」に変えていく。

意味がわかるかな?

これができたら、ホント強い。

まっつんスタイルが時々言う、

「ダイエットはライフスタイルそのもの」

ってやつね。

☆

たぶん人間の身体って、とにかく急激な変化が嫌いなんやろうね。

体温もそう。

血圧もそう。

水分もそう。

塩分も、

コレステロールも、

血糖値もそう。

いろんなものを、

「だいたいこのへん」

に保とうとする。

人間の意識だけが、

「来月までに激変したい!」

「夏までに腹筋割りたい!」

「三週間で人生変える!」

とか言ってる(笑)。

身体はたぶん、

「ちょ待てや!」

「そんなん知らんがな」

「急に変えられてもキツいで」

って思ってる(笑)。

☆

おもしろいもんで、これ、なんか人間そのものにも似てる。

生活を変える。

仕事を変える。

住む場所を変える。

新しいことを始める。

頭では、

「変わりたい!」

とか思ってる。

でも、実際に変化が始まると、

不安になる。

昔の生活が恋しくなる。

元へ戻りたくなる。

慣れた場所って、居心地がいいから。

良い悪いじゃなく、

“今まで通り”にはものすごい力がある。

最近、引越しと転職を経験したまっつんスタイルは、まさにそのど真ん中にいる(笑)。

でこれ、身体も同じ。

「変化するな」

じゃない。

変化するなら、

「おっしゃ、今日から全部変えるぞ!」

じゃなくて、

「まぁまぁ、ちょっとずつ行こうや」

くらいの方がいいのよねホントは(笑)。

☆

さて、最初の問いに戻る。

「ダイエットは、なぜ頭打ちになるのか?」

そして逆に、

「なぜ人間は、同じ量を食べ続けても、永遠に同じペースで太り続けないのか?」

一見、真逆の現象。

でも根っこは、どうやら同じ話。

身体は、変化した身体に合わせて、また新しいバランスを作ろうとする。

痩せれば、痩せた身体なりの消費になる。

太れば、太った身体なりの維持費が必要になる。

食欲も変わる。

活動も変わる。

ホルモンも変わる。

で、どこかでまた均衡する。

もちろん、その調整能力は万能じゃない。

個人差もある。

現代の飽食環境はあまりに強力。

だから、とんでもなく太ることもある(笑)。

逆に、人間の身体は飢餓にはかなり敏感やから、

痩せようとすると猛烈に抵抗されることもある。

うむ、人体はなかなかにめんどくさい(笑)。

☆

でも、そんな身体を、

「なんで言うこと聞かんねん!」

って敵扱いするのも、それはそれで違う。

身体からすれば、何万年、何十万年と、人間を死なせないためにやってきたことなんやろうから。

「エネルギーが足りん?」

→「節約せぇ!」

「食える?」

→「食え!(蓄えろ!)」

「身体が変わった?」

→「じゃあその新しい状態でバランスを取れ!」

そうやって俺ら人間を生かしてきた。

その身体に、現代人がいきなり、

「彼女に腹筋見せたいから、あと3kgよろしく」

って言ってる。

そりゃ、

「いや、知らんがな」

ってなる(笑)。

☆

だから体づくりって、

身体との戦争じゃなくて、身体との対話

っていうのはさっきも言った通り。

いや、

身体との外交交渉やな(笑)。

人:「もうちょい脂肪落としたいんやけど?」

身体:「無理」

人:「いやそこをなんとか」

身体:「食料不足ちゃうん?」

人:「いやいや、毎日ちゃんと入ってきます」

身体:「ホンマかいな?」

人:「ホンマです」

身体:「うん・・・、じゃあ、ちょっとだけ」

そんな交渉を、

一日、

一週間、

一ヶ月、

半年、

一年。

ゆっくりゆっくり続ける。

するといつの間にか、昔なら頑張らんと維持できんかった身体が、

“これが普通”

になってたりする。

☆

「ダイエットが頭打ちになる理由」

から始まった、

「じゃあ、なんでデ◯も無限には太らんの?」

っていう、どうでもいい問い(笑)。

考えてみたら、人間の身体がいかに、

「今まで通り」

を大切にしてるかが見えてきた。

身体って、意外と保守的(笑)。

まぁ、何十年も俺らを生かしてくれてるんやから、

あんまり無茶を言わず、

焦らず、

急がず。

でも、少しずつ。

身体と仲良く交渉しながら、自分にとって心地いい「普通」を作っていけばいいってことやね☆


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